何名かの方にリクエストをいただいたため、9年ぶりに再製作したモノ。
Impossible Pentominoes ( I wants to hide supported by ν )
左が2001年製、右が2010年製。経年変化で9年前のモノの方が若干色合いが深みを増していますが、仕様は樹種もサイズも塗装の方法もすべて同じです。
今のようにたくさんのパズルをデザインしたり製作したりすることは予想だにしていなかった9年前、そのしばらく前からお世話になっていた木工所本来の寄せ木細工の作品と私がデザインしたパズルを合体させた記念碑的な作品を「つくりましょう。つくってください」とお願いしました。
ウォルナットと年々入手が困難になっている緑色(モスグリーン)がかったホウ材をこのパズルのために特別に市松に寄せてもらった箱、これが木工所本来の仕事、それを専門の塗装所に持ち込んでウレタン塗装を施してもらって仕上げてあります。(パズル・ピースはオイル塗装)
パズルの内容については次の説明書の写しをご覧ください。
そして、次の文はパズル懇話会の会誌、2001年9月号に掲載してもらったこのパズルの紹介文に加筆修正したものです。(説明書の記述と重複するところが多分にありますが)
プレイナーペンタキューブ12種1セットの総体積は60ですね。これを内寸4×4×4の空箱に一部もはみ出さないように詰めて下さい。
えっ、容積64に体積60を容れるんじゃ、余裕があり過ぎですか?
それじゃあ、体積1の三角柱4個も一緒に容れてもらいましょうか。斜辺の長さが2の直角二等辺三角形を底面とする高さ1の三角柱です。これで体積は64ちょうど。
えっ、容積64に体積64を容れるんじゃどうってことないのでは、とおっしゃるんですか?
それじゃあ、もう一つ体積1の立方体も加えましょう。容積64に体積65を容れる、これでいかがです?
えっ、今度は、そんなの無理に決まっている、ですか?
そうですよね。64に65が入るわけがない。でも実は最初の60でも無理なんですよ。お忘れかも知れませんが、ペンタキューブ I の最長辺の長さは5ですからこれは絶対にはみ出しますよね!! ですが、それも含めて、中に収めてほしいんですよ。
正直に告白しますとね、箱は少し余裕を持たせて作ってあるから容積は64より少々大きいんです。ほら、ちょっと隙間があるでしょ、その隙間を上手く使えば、易しかぁないですが、ちゃんと収まるようにできているんですよ。
えっ、他に仕掛けやトリックはないのか、ですって?
そりゃあパズルですもの、仕掛けやトリックの類がないとは言いませんが、もちろんここではこれ以上明かせません。実物をご自分の目でぜひ確かめてくださいな。
そうだ、副題の特に “ν” が最大のヒントで、答えはきっちり1通りしかないってことは付け加えておきますネ。
元々、「プレイナーペンタキューブの総体積は60,これが 4×4×4=64 に収まる解ってどのくらいあるんだろう?」という愚問を私自身自らに発したのがこのパズルをデザインしたきっかけでした。愚問の数秒後に、「長さ5の I ペンタキューブがあるんだから、解なしに決まってるじゃないか! … でも、その不可能を何らかの工夫で何とか可能にできないか?」 そう考えて、ここで紹介するものとは異なるピース構成の最初のタイプをつくり、それを全面的に見直してデザインとして決定稿としたのがこの作品です。
このテーマで新たにパズルをデザインすることは今後ないでしょうし、上のようにこのパズルを製作するのも今回が最後のことになるでしょう。
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